2015年10月3日(土),4日(日)にドイツ連邦共和国の首都・ベルリンで開催されたMaker Faire BerlinにNico-TECH名義で出展しました。私の出展についてはこちらにも書いた通りなのですが、ここではイベント全体について感想を書きたいと思います。
ベルリン
言わずと知れたドイツ連邦共和国の首都にしてドイツ最大の都市(ロンドンに次ぐ欧州第二の都市)。かつて壁で分断されていた歴史を持ち、現在は旧西側と旧東側が融合し、近現代の歴史を肌に感じることができる世界に2つと無い独特の魅力を持つ街です。ただし、旧東ドイツの中心部に位置し、旧西ドイツの主要都市からやや離れた場所にあるというのも事実なので、他の都市からの来場者はあまり見込めないのではないかという気がします。
ドイツとMake
Faireの運営はMaker Media GmbH(GmbH=有限会社)で、ドイツ版のMake:誌を発行しています。Maker Faire Hannover(ドイツ・ニーダーザクセン州都)で過去3回の開催実績がありますが、ベルリンでの開催はこれが始めてでした。
よく知らないのですが、ドイツでMake:誌が発行され始めたのは割と最近のようです。また、Make:誌はMaker Media が編集し、Heise(ハイゼ)社が出版しているようです。オライリーではないんですね。
Maker Faire ベルリン
会場は駅を出てすぐの好立地で、展示場所は屋内(地上階・1階)と屋外のテントおよび屋外でした。出展数が100を越える大規模Faireと公式は言っていますが、おそらくスポンサーブースを含めれば100を越えると言った規模で、Maker Faire台北などに比べると規模は小さいです。とは言え、このメインの建物には今回立入禁止(未使用)だった2階部分があるので、今後さらに大規模化する余地はありそうです。
ArduinoとRasberry Pi
Maker Faireではとてもメジャーな両者。展示の前面に出ているとは限りませんが、いろいろなところで使われていました。私の出展でも、技術的な質問をしてくる人には必ずArduinoというワードが通じました。
こちらはArduinoのシールドやRaspberry Piのハットの出展です。
3Dプリンタ
3Dプリンタは会場内のいたるところにありました。もはやこの手のイベントでは珍しいものではありません。
同じオブジェをいっぱい印刷していたようだ。
こちらの3Dプリンタはかなりスタイリッシュです。
大型の3Dプリンタもありました。
VRも今が旬の技術で、複数箇所で出展されていました。「この技術を使って何をするか」という観点でまだまだこれから発展していくジャンルだと思います。
その他
フォーミュラカーがあったり
光る足場でクライミングできたり
屋外では火を吹く展示があったり、割とフリーダムでした。
こちらは放電して蛍光灯が光るデモです。NT京都等で大型のテスラコイルを見慣れているので、この程度の大きさではフーンっていう感じですね。
その他に、ステージでは光る衣装やアクセサリを身につけたファッションショーが催されていました。1日3回のステージのほか、懇親会では会場を暗くして出展者に対して行われました。
このFaireには持ち運び展示の区分があり、光る衣装の方々の一部はブース無しでの出展のようでした。
また、私は言葉の壁もあって全部スルーしましたが、複数箇所のプレゼンブースで様々な発表がされていた他、ワークショップも行われていました。
飲食
屋内と屋外テント内にバーやケーキを売るお店があって、飲食スペースが確保されていたり
屋外にソーセージやクレープ等の屋台があったり
他にも、会場奥のテラス部分に出展者向けの休憩スペースがあって、ハンバーガーを売っていたりと、飲食にまったく困らないお祭りでした。会場内も割と飲食自由らしく、ジュースを飲みながら会場内を散策している来場者さんもいました。出展側としては、展示物にこぼされないか少し心配でもありました。
来場者・出展者
Maker Faire ベルリンは家族のフェスティバルと銘打って開催されているだけあって、たくさんの家族連れで賑わっていました。英語で話しかけてくる方も多かったです。私が明らかに外国人だからというのもあると思いますが、隣のブースでも英語で質問されているところを何度も見ているので、お客さんもそこそこ国際的なのでしょうか。イタリア語らしき言語で会話する親子や、韓国語を話す女性グループも見かけました。残念ながら(?)出展していて日本人らしき人を見かけることはありませんでしたが、日本語を勉強したことがあるとかで、簡単な日本語で話しかけてくれた現地の方が二人くらいいました。
出展者はベルリンを中心にドイツのいろいろな場所から来ているようでした。また、少数ながら国外からの出展者さんもいました。ドイツ語で話しかけたらドイツ語わからないんですよって英語で返って来た方もいました。私は英語もドイツ語もわからないんで大丈夫です(大丈夫じゃない)。他にも、Makeのスタッフの方が米国から来ていたり、seeedのスタッフは中国・深センから来ていました。
Nico-TECH:ブースについて
今回はNico-TECH名義で出展しました。元々私が出展したかったから出展したのですが、出展者名をどうするか悩んだことや、1人で机1つは広すぎるのでニコニコ技術部のPRでもしてみようかと思ったことからNico-TECH名義での出展となりました。あわよくば共同出展者みつからないかなと思ってニコ技Wikiで募集もしましたが、場所が日本から遠すぎることもあり、当初の予想通り1人出展となりました。
私の主な展示物はあの楽器miniでした。あの楽器miniは、MakerFaire台北に行くと言ったものの、それまでのイベントで展示していたあの楽器は大きくて持っていけないので「飛行機で持っていけるあの楽器」というコンセプトで開発したもので、台北、ベルリンとその役割を果たしてくれています。
【頂いた質問・コメント等】
展示していて頂いた代表的な質問です。
・これ何? 触っていい?
⇒演奏して見せれば楽器であることがかわかるので楽でしたが、触っていいことがわかるように表示があれば良かったですね。
・モノフォニックですか?ポリフォニックですか?
⇒演奏して見せればポリフォニックである(和音が出せる)ことは示せる。ただ、eVocaloidはモノフォニック
・最大同時発音数(和音数)は?
⇒eVY1モジュールの仕様上同時に64音出せる。
・歌声はサンプリング(自分で録音等)しているんですか?
⇒「ヤマハのICが生成してくれるので、私はそれを使っているだけ。」と回答。eVY1モジュールについて気になる人は少なからずいて、横に置いていた(別の作品に使っていた)eVY1シールドの写真を撮っていく人も複数人いました。
・(説明資料を見て)ハツネミクって誰ですか?
⇒「日本で有名なバーチャルアイドルです。」と回答。そういえばドイツ語版のボーカロイドって聞いたことがないので、知名度低そうですね。(調べたらゆかりさんがドイツ進出していた)
・(あの楽器のeVocaloidの歌声を聴いて)この声は初音ミクですか?
⇒「違います。eVY1という別のVocaloidです。」と回答。ミクを知っている方もいるんですね。この質問をされた方は英語で話しかけてくれた方だったので、ドイツ国外から来た方かもしれません。
・カード(配布物)は無いの?
⇒用意できませんでした・・・。家に帰ってから調べられるように、カード(名刺みたいな)が欲しいというご意見は複数の方から頂きました。
・Web siteはないの?
⇒「日本語版しかありません。」と回答していました。だれか英語版のニコニコ技術部紹介サイトを作ってください・・・。(他力本願)
・その他展示物に対する使い方や技術的な質問
自分の意見をはっきり述べるお国柄もあり、自分はこれが好きだ!って絶賛してくれる方も複数いてとても嬉しかったです。小学生くらいの子供でも、「小さくて鍵盤数が足りない」とか「LEDがきれいで良い」とかはっきり感想を言ってくれるあたりがさすがドイツの方々と言ったところです。「これイイネ」ってウィンクしてくれたお兄さんカッコ良すぎです。また、WowとかOh my Godと言った欧米的な反応を見せてくれた方もいました。
他に失敗談として、当日の諸注意についてのメールが1週間ほど前に送信されていたのですが、なぜか迷惑メールフォルダに入っていて気づかずに会場入りしました。結果、出展者向けに配られていたチラシとかを貰い損ねていたようです。
余談:ドイツ(語圏)でのMakerFaire
来年3月にはドルトムントでMaker Faire ルールが初開催、来年4月にはオーストリアの首都ウィーンでも初開催とのことです。去年までハノーファーしかなかったドイツ語圏のMaker Faireが来年には4会場になるという急拡大ぶりです。
また、会場内で配布されていた冊子に寄稿しているこの人、連邦内閣の経済・エネルギー担当大臣ガブリエル氏です。
ここでは経済・エネルギー担当大臣としての寄稿ですが、連立内閣の第二党・ドイツ社会民主党の党首で、連邦副首相兼経済・エネルギー担当大臣という、ドイツ政府でメルケル首相に次ぐポジションの人物でもあります。国としてもMakerムーブメント等を後押ししていたりするのでしょうか?